「五月の唄」作品解説🍒
「五月の唄」B4
アクリル 黒箔 パネル
2020
大人と少年少女の間で揺れ動きながら行き来する 誰もが通るであろう
複雑で繊細に生きる姿と 愛おしい感情を描きたいと思いました。
梅雨の時期を超えて豊かに実るサクランボ。
五月は梅雨の前の季節。
雨の日々を超え、栄養として大きく成長する前の、未熟な部分も含んだ様子を人物に投影しました。
この二人は双子なのか 恋人同士か。
触れることも叶わない 赤の他人の想いか。
いずれにせよ 対に実ったサクランボの様に、 何かの思いで繋がり結ばれているのかもしれません。
二つの思想が 二重唱の様に重なり合って、時には遠く離れて 互いに影響しあいながら、音を生み出し 唄うイメージで描きました。
絵の具の薄塗りを重ね、細やかな立体感を出していったモチーフと、
黒箔を使用した鈍く輝く背景部分は、作者ですら目を奪われる仕上がりです。
そんな制作中に奇遇にも作品のイメージにピタリと合った ある二つの詩に出会いました。
まるで私が制作を始めたタイミングに誘い合わせた様に、私に飛び込んできた詩でした。
この詩を受けて、絵の中に より広がりと深みが増しました。
以下に一部抜粋した二つの詩をご紹介します。どうぞ合わせて作品の世界に浸っていただければと思います。
ロバと王様とわたし
あしたはみんな死ぬ
ロバは飢えて
王様は退屈で
わたしは恋で
時は五月
いのちはサクランボ
死はその核 (たね)
恋はサクランボの親の木。
(書籍『プレヴェール詩集』小笠原豊樹 訳 「五月の唄」 岩波文庫 より
夏休みよ さようなら
僕の少年よ さようなら
ひとりの空ではひとつの季節だけが必要だったのだ
(中略)
きらめく季節に
だれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ
二十才 僕は五月に誕生した
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる
いまこそ時 僕は僕の季節の入口で
はにかみながら鳥たちへ
手をあげてみる
二十才 僕は五月に誕生した
(書籍『五月よ 僕の少年よ さようなら』寺山修司×宇野亞喜良 「五月の詩・序詞」 アリエスブックス より)
1/30~2/5に広島・福屋八丁堀本店にて開催いたします
イレブンガールズアートコレクション展でこちらの作品を初発表します。
1/17 広島・朝日新聞にも作品画像を掲載していただきました。いつも有難うございます。
引き続き何卒よろしくお願いいたします!
会期中は私、流川自ら作品解説いたします。
こちらの作品の他にも約20点の作品を出品いたしますので是非会場で直接作品を見て欲しいです。
「五月の唄」他、会場に設置する作品解説POPなども
只今の流川が絶賛制作中ですので是非合わせてゆっくり会場で楽しんでくださいね。
こだわりが強過ぎて誰にも任せたくないくらい!笑
広島のお客様にお会いできるのを楽しみにしています。 それではその日まで。ごきげんよう♪
【作品のお問い合わせ】
福屋八丁堀本店(代表)082-246-6111